うずらのココ 第2話ー2 ~夏祭りにいったよ~
その2
次に、金魚すくいの屋台に行きました。
ココは、金魚すくいを見たことがなかったので、「あれは、何?」とお母さんに聞いてみました。
するとお母さんは、「あの赤い魚は、金魚っていうの。ここは金魚たちのプールで、今、鬼ごっこをしているのよ。ココもいっしょに鬼ごっこして遊んでごらん。」と言いました。
ココは喜んで、金魚すくいの水槽の中に入っていきました。そして、「キャッ、キャッ、待てー。」と大きな歓声をあげて、泳ぎながら金魚を追いかけました。
お母さんも、「ココちゃん、こっち、こっち。」とか「ほらほら、ここよ。」とか言いながら、夢中になって応援しました。
屋台にはお客さんがいなかったので、屋台のひかえめなお兄さんは黙っていましたが、しばらくしておもむろに言いました。「あのお、ここは金魚すくいの屋台なんですけども。」
それを聞いたお母さんは、「そうですよね。でも、お構いなく。」なんてピントのずれたことを言っています。
しばらくすると、うずらと金魚の鬼ごっこを一目見ようとたくさんの人が集まってきて、屋台のまわりはギャラリーで埋めつくされました。みんな「ココちゃん、がんばれ。」と声援を送っています。
あいかわらず、ココは金魚をつかまえられず追いかけています。そのとき屋台のお兄さんが言いました。「ココちゃん、角(かど)だよ。角に金魚を追い込むんだ。そうすると逃げ場がなくなって、きっとつかまえられるよ。」
ココは、そのとおりやってみました。すると、特に運動神経の悪い金魚を1匹つかまえることができました!
ギャラリーからは、「おー!」と歓声があがり、割れんばかりの拍手が巻き起こりました。感動して涙ぐむ人もいました。
なかでもいちばん喜んだのは、あのひかえめな屋台のお兄さんで、ギャラリーに向かって「万歳三唱しますので、ご唱和ください。」なんて音頭を取っています。
そして、ギャラリーは心をひとつにして万歳三唱をしました。