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第7話 ピッコロの通院 つづき
2017.5.23更新
ピッコロは、ブラック3900先生から「虫歯の治るハミガキ」をもらって家に帰ってきました。そして、さっそくハミガキを使ってみると、なんとなく虫歯の穴が小さくなったような気がしました。
そこで、次の日も次の日も、そのハミガキを使いました。すると数日後には、すっかり穴がふさがって虫歯が治ってしまいました。
ピッコロは、びっくりしました。
やがて一週間が過ぎて、ピッコロは、ブラック3900先生の診察室へ行くと、ブラック3900先生に言いました。
「あのー、ぼくの虫歯がすっかり治ったんですけど。」
すると、ブラック3900先生は言いました。
「フッ、それはよかったな、フッ。つまり、私の研究が成功したということだな、フッ。
それはそうと、どうやってこのハミガキを虫歯で苦しむ多くの人に提供するかが問題だ。
フッ、私はお金はいらない。ただ、人類が幸せになればそれでいいのだ、フッ。」
それを聞いたピッコロは言いました。
「あのー、ぼくにいい考えがあるんですけど。ぼくが、あのハミガキを売ってあげましょう。あのハミガキが売れれば売れるほど、虫歯で苦しむ多くの人が救われます。そうすれば、開発した先生の地位が高まり、先生は名誉を手に入れることができます。
あのー、先生は、お金には興味がないという気高く崇高な精神をお持ちになる方ですので、売上代金は・・・・、わかりました、ぼくがもらっておいてもいいんですけど。
あのー、先生が、どんどんハミガキを作れば、ぼくが、どんどん売りますから、一日に100個作って欲しいんですけど。
あのー、ぼくは、先生の地位と名誉のためにがんばりたいんですけど。」
すると、ブラック3900先生は言いました。
「フッ、私は、ただの人格者ですから、地位と名誉には、少ししか興味がないよ、フッ。」
こうして、ブラック3900先生は、ピッコロの話を承諾して、一日に100個ずつハミガキを作りました。
ピッコロは、カエル夫婦の豪邸の庭の物置小屋に住んでいますが、カエル夫婦からパソコンを借りると、自分のホームページを作成して、インターネットに公開すると、「虫歯の治るハミガキ」を紹介して、1個1000円で販売することにしました。
すると、またたく間にたくさんの注文があり、ピッコロは返品無用と赤字で書いた封筒にハミガキを入れて送りました。
こうして事業を始めましたが、すぐに人手が足りなくなり、近くの田んぼに群れを作ってたくさん住んでいる「こびとさん」にお手伝いをお願いしました。
すると、1000人以上の「こびとさん」がやってきて、人海戦術の無報酬で働いてくれました。
「こびとさん」は、目が3つ、手と足が3本ずつあり、バランスが悪くよく転びますが、ブラック3900先生の研究室からハミガキを運んだり、封筒を買ってきたり、ハミガキを発送したりと、何から何までやってくれました。
こうして、ピッコロはお金持ちになりましたが、お金持ちになると、誰も信じられなくなり、銀行に預金しておくのも不安になりました。そこで、自宅のタンスに預金しました。
今では、タンスが3つに増え、ピッコロは、タンスの中の札束をながめる貯金鑑賞が趣味になりました。
おしまい
今回は、ピッコロがお金持ちになる話で、読者のみなさんはストレスがたまっていることとお察しします。
次作は、「ピッコロの釣り」というタイトルで、ピッコロが一文なしの貧乏になるというお話しです。
読んだら、きっとスッキリしますよ。乞うご期待。