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第5話 ピッコロの宝島
2017.5.20更新
ピッコロは少年の頃、宝島を冒険したことがあります。これは、その頃のお話です。
ある日、ピッコロの住む港町にビリーという男がやってきました。ビリーは誰かに追われているようで、安心して泊まれるところを探していて、ピッコロの母が営んでいるビンボー邸という宿屋に泊まることになりました。
しばらくすると、ビリーを追って海賊たちがやってきました。ビリーは宿屋に荷物を置いたまま、逃げていきました。
ピッコロは、ビリーが残して行った荷物の後始末をしていましたが、その中に一枚の地図を見つけました。
ピッコロは、町の有力者にすべてを話して地図を見せると、町の有力者たちは、この地図を宝島の地図だと考えました。そこで、宝島へ乗り込んで宝探しをすることになりました。
まず、町の有力者たちはそれぞれが出資して船を借りました。次に、船乗りたちを募集しましたが、その中に一本足の海賊シルバーとその仲間が紛れ込んでいました。そうとは知らず町の有力者たちはピッコロも連れて宝島を目指して出航したのです。
航海してすぐに、ピッコロは優しくて頼もしいシルバーのことが大好きになり、毎日わくわくしながら航海を続けました。
シルバーは、航海の初めのうちはおとなしくしていましたが、徐々に海賊の本性を現し、海賊の仲間とともに宝を横取りしようとします。
一方、シルバーの仲間にならなかった町の有力者や船乗りたちは必死に抵抗しました。そしてついに、シルバーたち海賊に勝利し、シルバーをつかまえました。
その後、有力者たちは金銀財宝の宝物を見つけて、故郷の港へ帰ることにしました。しかし、シルバーはその途中で、船から脱走してしまいました。
こうして宝物を手に入れた有力者たちは故郷へ帰ってきますが、宝物の分け前について、ずるい大人たちが相談した結果、「ピッコロは未成年」という理由でピッコロは全く分け前をもらえませんでした。
ピッコロは、びっくりしました。
ピッコロは自分一人だけ仲間外れにされて、とても寂しくなりましたが、「大人の言うことは正しいのかな。」と思って、悔しいながらもあきらめました。
やがて10年が過ぎ、ピッコロは船乗りになりました。そして、航海の途中で偶然に寄港した小さな港町で、シルバーに会うことができました。
ピッコロが宝島へ航海したころは、ピッコロはまだ少年でした。あれから10年が過ぎて青年になったピッコロがシルバーに声をかけましたが、シルバーはピッコロだと気がつきませんでした。
シルバーは、「昔のことは、もう忘れたな。」と言って、逃げるようにピッコロから去っていきました。
ピッコロが後を追いかけても見失ってしまい、もうシルバーには会えませんでした。
ピッコロは、その後もシルバーの手がかりを探しながら航海を続けました。
それから、数年が過ぎて航海の途中で寄ったある港町で、シルバーのうわさを耳にしました。そして、やっとシルバーが住んでいる島を見つけました。
ピッコロがその島に上陸すると、素敵なロマンスグレーになったシルバーに会うことができました。ピッコロは、これまでのことをシルバーに話しました。
・・・自分はピッコロで10年以上前にいっしょに宝島へ航海したこと、そのときシルバーのことが大好きだったこと、やっと見つけた宝物の分け前を全くもらえなかったこと、青年になり自分も船乗りになったこと、そして、何よりもシルバーに会いたかったこと・・・
ナイスミドルとなったシルバーは、静かに優しく温かいまなざしで微笑みながら聞いていました。
ピッコロは、そんなことを話しているうちに、あの宝島への希望に満ちた航海は夢だったような気がしてきました。いや、本当であったとしても、あの少年時代には戻ることができないんだなと考えているうちに胸がいっぱいになり、涙が流れてきて、もう話すことができなくなってうつむいてしまいました。
しばらくして、ピッコロが顔をあげてふとシルバーの顔を見ると、シルバーの目にも涙が浮かんでいました。