うずらのココ 第7話 ~お星さまにお願いしたよ~ 2016年12月9日 更新しました
クリスマスが近づいてくると町はにぎやかになりますが、ココの家は静かなものです。
それから、テレビもパソコンもラジオもないので、ココはクリスマスもサンタクロースのことも知りません。
今日は、久しぶりにお母さんとスーパーに行きました。お母さんは、あいかわらず「大豆」と「ジャガイモ」を買っています。
スーパーには、「♪シャンシャンシャーン、シャンシャンシャーン」と音楽が流れています。これは『青い山脈』じゃなくて、『ジングルベル』のようです。
また、ピカピカと電気が光る大きなクリスマスツリーが置いています。
そのとなりには、赤い服を着た白いひげのサンタクロースのおじさんの人形が立っていました。
ココは生まれて初めて、クリスマスツリーとサンタクロースを見ました。そこで、「あれは何?」とお母さんに聞きました。
「ピカピカ光る木はね、クリスマスツリーっていうのよ。ほら、冬になると木の葉っぱがなくなって寂しくなるわよね。寂しくなったから木にお化粧をして、にぎやかにしているのよ。
それから、となりの白いひげのおじさんはサンタさんっていうのよ。サンタさんはね・・・・・・、」と、ここまで言いかけて黙ってしまいました。
お母さんは、お金がないからプレゼントを買えません。だから、「いい子のためのプレゼントを運んできてくれるのよ。」なんて言えません。
お母さんは、少し考えて作り話を言いました。
「サンタさんはね、空飛ぶソリに乗って世界中の子どもたちのお家に行って、子どもたちのお願いを聞いてくれるのよ。サンタさんを見たらお願いをするといいわよ。」
それを聞いたココは、「ココのお家にも来てくれるかな?」と言いました。
お母さんは、「・・・・・・サンタさんは世界中に行かなければならないの。とっても忙しいのよ・・・・・・。
・・・・・・だから、えーと、う~ん、ココのお家には来れないかもしれないわね・・・・・・。」と言いました。
ココは、がっかりしました。目にいっぱい涙があふれています。
そこでお母さんは、また少し考えて作り話を言いました。
「サンタさんは忙しいから行けないところもあるけれど、お星さまがキラキラ光る夜に、流れ星を見たら、お星さまにお祈りするとサンタさんに気持ちが届くんだってよ。
ココもお星さまにお祈りしてみましょうね。」
と、ごまかしました。
それから毎日、ココは夜になると外に出て夜空を見ています。
お父さんが、「ココちゃん、外は寒いからお家にお入り。」と声をかけても、
「お家の中も寒いよ。だから、う~ん、もうちょっと待って。」とか言って、なかなかお家に入ろうとしません。
こうして何日か過ぎたある夜、ココが喜んでいる大きな声が聞こえました。
「わー、流れ星だ。」
ココは、大きな声でお祈りしました。
「お星さま、サンタさんに教えてね。
いつまでも、お父さんとお母さんといっしょにいられ ますように。」
そして、もう1回、もっと大きな声で、お星さまにお祈りしました。
「いつまでも、いつまでも、お父さんとお母さんといっしょにいられますように。」