うずらのココ 第1話 ~ココのくらし~
ある村にうずらの親子が住んでいました。子どもの名前はココ、女の子で年は3才です。
この親子はとても貧乏で、大きな木の下に拾ってきたトタンで屋根を作って、そこに住んでいました。
家の中は暗いので、外が暗くならないうちに家の外で晩ご飯を食べて、食べたらすぐに寝ていました。
ココのお父さんは、食堂の出前を配達する仕事をしていましたが、うまく仕事ができませんでした。
たとえば、出前を配達しようとしても配達先を忘れてしまったり、途中で迷子になったり。
それどころか、出前であることを忘れて自分で食べてしまったり、自分の家に届けてココに食べさせたりしました。
そんなわけで、ココのお父さんはいつも食堂の店主から怒られていました。
あるときココが食堂の前をとおりかかると、また、店の主人がココのお父さんを大きな声で叱っています。
ココは、「雷みたいだな。いつ光るんだろうな。」と思いしばらくみていましたが、店の主人は光りませんでした。
一方、ココのお父さんは、全く話を聞いていないようで、目をパチパチして、キョロキョロしています。
ココの家のご飯は、ゆでた大豆やじゃがいもでした。一度、お米をゆでたことがありますが、ゆでる前にたくさん入れた水が、ゆで上がるころにはどこかに消えてなくなっています。それが不思議で、お母さんはお米をゆでるのをやめました。
それから、ココのお母さんは料理が苦手で、簡単なものしか作れません。しかもセンスがないので、キュウリやタクアンをゆでた不思議な料理を作りました。調味料は、塩と砂糖だけです。でも、ココは料理のことを何も知らないので、なんでも「おいしい、おいしい。」と食べました。
また、ココのお母さんは、家の前で自分たちが食べる野菜や果物を作っていましたが、農業の知識や経験がないので、うまく作れませんでした。
ココのお母さんは、そこで瓜(ウリ)も作っていました。ココの家は貧乏なのでメロンを買えません。メロンの替わりに瓜を食べていました。
瓜を食べる日は、ココのお父さんの給料日などの特別な日でした。食べる前には、家の前の井戸の水で冷やしてから食べました。
第2話につづく・・・。